リノベーションで気をつけたいこと

すでに住んでいる人たちがいます

新築のマンションや建売りの戸建て、つまり工事が完了している物件だったら気にしなくて済むことがあります。リノベーションをするその空間の『向こう三軒両隣』『左右上下階』にはすでに住んでいる人たちがいるということです。

工事をする際には、マンションでしたら管理会社へまず相談。管理規約に定められている制約なども事前に確認しておく必要があります。近隣の方々には、数ヶ月間ご迷惑をおかけすることになりますので、マンション・戸建てにかかわらず、音や匂いの出る工事、工事時間などの配慮はしっかりと行い、着工前のご挨拶も欠かさず行うようにしましょう。
工事する予定がない住人の方々も、いつか何かしらの工事をせざるを得なくなることはあります。そして、マンションの場合は共有スペースを共に所有し修繕していく仲間、戸建ての場合は同じ町内の仲間、地域のお祭りに参加したり、有事の際には助け合うことなどもあるでしょう。きちんと説明しておけば、お互い様という気持ちで温かく見守ってくれることと思います。

 

すぐに入居できない

さて、リノベーション工事は物件購入後に始まるわけですが、ほとんどが既存の間取りのままの状態だと思いますので、まずは解体工事からのスタートです。
プランを進めていく段階で、設計担当者や施工会社が何度か現場の調査を行いますが、解体しなければわからないことも出てきてしまいます。もしかしたらこうなっているかも?とある程度予測は出来たとしても、実際に壊してみないと本当の意味での最終プラン確定とはならないのです。

解体している間などの時間を利用してプランを修正し、本工事が着工。そして様々な変更点との格闘を経て、ようやく竣工・お引き渡しとなります。プランニング開始からそこにたどり着くまでには、マンションの場合で最低でも3ヶ月はかかってくると考えてください。プランが大きな変更もなく順調に進み、工事金額もスムーズに確定した場合でもそれだけの期間が必要です。

そして、新しい家具や家電の設置、照明器具、カーテンの取り付けなど、お引越し前に済ませておきたいものもあると思います。引き渡し日程がスケジュール通りか、それとも少しずれ込んでしまうのかを施工業者にしっかり確認しながら、入居日を確定するのが望ましいと思います。

水回りを大きく移動するのは難しい

次に、マンションの水回りについてですが、キッチンやトイレ、お風呂場は、大きく移動することはできないものだと考えてください。マンションの区画内には、排水を接続するための排水管が設置されていて、位置は動かすことが出来ません。キッチンの排気に関しても同様です。フードから吸われた煙が排出される外壁の開口の位置はすでに決まっており、新たに穴を開けることはできません。
また、マンションの間取り図を見ていただくと、PSと書かれたところがあると思います。設備の配管が通っているパイプ用のシャフトです。水回りの近くにあることが多いのですが、こういったスペースは移動したり壊したりすることは出来ません。

しかし、水回り位置を移動せずに希望に近いプランニングができれば、今のイメージとは大きく違った空間にすることも可能になりますし、移動にかかる費用を抑えることも出来ます。物件を内覧するときには、このあたりのことを確認し、イメージ通りのリノベーションができるかどうか想像しながら見てみてください。

それでも、どうしても水回り設備の移動をしたいという場合があると思います。大きく移動してしまうと床に段差が生じてしまったり、そのせいで天井高さが低くなってしまうことがありますので、そういったデメリットを事前にしっかりと確認しながら、プラン進めていくようにしましょう。

 

壊せない壁がある

次に、マンションの構造についてですが、まず大きく分けて、『壁式構造』と『ラーメン構造』の2つの構造があります。壁式構造の場合ですと、室内の間仕切り壁が建物を支える構造体のひとつになっていて、壊せないことがあります。気に入った中古マンションが見つかったら、内見の際には必ず不動産会社などに確認するようにしましょう。

たとえ壁式構造だったとしても、水回りと同様に、それをうまく生かしてリノベーションしている事例はたくさんあります。壁式構造はリノベーションを検討している方にとっては避けたい物件かもしれませんが、自分にとってその壁が問題なければ、逆に狙い目であるとも言えます。できるだけ知識のある担当者に同行してもらい、確認してもらうといいと思います。

そして、戸建て住宅の構造はというと、木造(在来工法・ツーバイフォー工法)・鉄骨造・RC造(コンクリート)などがあります。鉄骨造の場合は、柱が無い広い空間を確保していることがありますが、RC造や木造住宅の場合は、マンションの壁式構造と同じように、室内の間仕切り壁が構造体になっていることが多々ありますので、注意が必要です。

もし、構造体に手を加えるとなると、その分工期が余分にかかり、コストも大きく上がってしまうことがありますので、まずは構造体を変更せずにプラン可能かどうかを検討していくのがいいと思います。

しかし、自由度の低い、制約の多い物件がリノベーションに向いていないかというと、決してそうとは限りません。不利な条件を逆手にとって他にない魅力的な空間を考えてみるのも、リノベーションの楽しさのひとつと言えるのではないでしょうか。

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